雨樋って何ですか?
わざわざ取り付ける必要性とは?
「子供の頃から家に最初から付いていたから、特に考えたこともなかった。」
「屋根から水が垂れてきても問題ないんじゃないの?」
最近、こういった声を聴くことが増えてきたように思います。
確かに、仕事や家事育児などをしていたら普段なかなか雨樋のことなんて考えもしませんよね。
なので雨樋について少し解説したいと思います。
雨樋の役割とは?
まず雨樋はどこに付いているのかというと、軒先に付いています。軒先とは屋根の端っこ、先端のことです。降ってきた雨は屋根の傾斜を伝って軒先から垂れていきます。その雨をキャッチし、下に流れ落ちないよう集めてくれるのです。
集まった雨水はどうなるの?
軒先に溜まった雨水は壁に這っている丸いパイプのようなもの、竪樋を通って地上や下水に流しています。
はっきり言って雨樋の仕事はこれだけです。ただ、この単純とも思える役割がどれだけ重要なことなのか次で解説します。
雨樋の必要性
そもそも雨樋はいつからあるのか? 少し歴史を追ってみましょう。
日本に初めて雨樋が登場したのは奈良平安時代と言われています。
このころの一般住宅は【かやぶき屋根】や【草ぶき屋根】がほとんどだったので屋根自体が雨を吸収したり、庇(ひさし)が今と比べかなり長かったので必要ありませんでした。
当時は神社仏閣で瓦屋根を使い始めていたので、雨樋も神社仏閣でしか必要なかったみたいです。
いつごろから普及したかというと、江戸時代頃からといわれています。
このころから町が栄え、瓦葺きの家が普及し始め、隣の家との距離も近くなりました。
家と家の距離が近いと屋根を伝って落ちてきた雨がはね、隣の家に迷惑がかかるということから一般的に普及しました。
このころには竹や木材の天然素材を使った簡素的なものが主流だったみたいです。
最近では丸い形状の雨樋や四角く角ばっている角樋というものが主になっています。
現代での雨樋の必要性。
雨樋は付いているのが当たり前と思われていますが、まず付いていないとどうなるか想像してみましょう。
多少の小雨程度なら軒先から雨がポタポタと垂れてくるだけなので傘を差すだけで問題はないでしょう。しかし、それなりに雨が降っていると瓦屋根の場合、瓦の凸凹に沿って集中して流れてくるため、まるで何本ものホースで屋根から水を流している状態になります。
その場合だとかなり威力も強くなるので地面が土の場合泥をはねて水たまりを作ったり、外壁を汚すことになります。犬走などのコンクリートの場合だと長年の雨水の威力でどんどん雨水の当たる場所が窪んでいきます。
雨水がはねるのを緩和するために庭に丸砂利を敷いているお家もありますね。
雨樋が割れていたり穴が開いていても
そこから雨水が垂れるだけだよね?
いいえ、それだけでは済まない場合があります。
雨樋が割れるって何?
現代で使用されている雨樋の素材のほとんどが金属系か塩化ビニール(簡単に言えばプラスチック)や合成樹脂です。 これらの素材だとやはり紫外線や風雪などの経年劣化によって割れや穴が開いてしまいます。植木用のプランターとかも次第に割れてきますよね?
雨樋が破損したままだと…
雨樋が割れたり穴が開いてしまうと当然雨水の流れる方向がおかしくなってしまいます。外壁材に直接雨水がかかってしまったり瓦の隙間から雨水が侵入するケースがあります。
詳しくは下をクリックで見れます。
雨漏りのページへ
はね返った泥で外壁を汚すとどうなるの?
泥や水がはね返り、これらの外壁材に飛散するとクラック(ひび割れ)を促進するなど外壁材の寿命を著しく下げたり、腐食やカビが生える原因にもなってしまいます。
もしクラックに雨水が侵入してしまうと、せっかく外壁材で覆っている木材や断熱材、土台や下地まで浸食されていってしまいます。そのまま土台が腐食していけば家が傾いて行ってしまい、やがて倒壊してしまう危険性まであります。これがいわゆる外壁からの雨漏りです。
雨樋の水が溢れてくる。
これらの原因は
- ・雨樋にゴミが詰まっている
- ・積雪などにより雨樋が歪んでいる
- ・勾配(水を流す角度)がおかしくなっている
などがあります。
落雪や紫外線などによる雨樋の変化、地震などによる家屋の歪みなどによって雨樋の勾配がおかしくなってしまうことがあります。勾配が悪いと雨樋に雨水がそのまま残ってしまい、なかには雨樋に草やコケがびっしり生えているなんてこともあります。
雨樋を長持ちさせる方法、メンテナンス
雨樋の掃除するポイント
- ・集水器…箱型になっている雨水が集まる部分です。雨水とともにゴミ(落ち葉など)も集まりやすい箇所です。
- ・軒樋…半月状のパイプのような部分です。腐食した落ち葉が溜まっていたり、コケや草が生えている場合があります。
- ・竪樋…筒状になっているパイプのような部分です。中に葉っぱなどのゴミが溜まっている可能性があります。竪樋に関しては目視にて確認することは難しいです。
掃除する方法
目視にて確認できるものは小さめなシャベルやゴム手袋などで処理しましょう!
竪樋は集水器から、もしくは継ぎ手を外して針金状のもの(先端に布などを巻いたものが望ましい)を使って中を通してゴミを除去しましょう!
割れている、穴が開いている場合
箇所を特定し、防水テープを張ったりコーキング材などを使い、応急的に塞ぎましょう。
(上記の作業はあくまでも応急処置なので早めに交換しましょう)
最近、テレビなどでも頻繁にDIYなどを特集しているが…
正直言って我々プロからしたらあまりオススメはしたくありません。
テレビなどでは簡単そうに放送されていますが、雨樋に関しては高所作業になります。
屋根から落下の危険性もありますし、普段使いなれない道具で雨樋を切る作業などもあり大けがをしてしまうリスクもあります。
- ・すでに材料を買ってしまって後に引けなくなってしまった。
- ・取付方法を間違えてしまい、余計悪くなった
- ・プラモデルなどを組み立てる感覚でやったら全然違かった。
- ・最終的にはプロに頼むハメになった。
- ・失敗したからほったらかしにしてた
といった声はよく聞きます。
雨樋は簡単そうに見えて結構難しいものでもあります。
しっかりと寸法を測ったり、金具の打ち込み幅、勾配調整、パーツの向きや接着剤をつける箇所などやってみないとわからないことがたくさんあります。
それと、やはり高所作業なので慣れていないと大変です。
一度自分の経験を考慮し、プロに相談するのがベストかと思います。
住まい工房「和」の施工方法と施工例を紹介
当社では、本当に雨樋交換が必要か?を最初に判断します。
交換するのはもちろんいいのですが、勾配状況、劣化状況を判断して雨樋の塗装をオススメすることもあります。雨樋を全交換するよりは塗装のほうが金額も抑えられるのでお客様にとってより良い提案をさせていただきます。
雨樋を塗装する意味は下をクリックで見れます。
塗装のページへ
施工する前に今と同じ組み方で大丈夫か診断します。
リフォームで大切なのは今の住宅の状態に合った施工です。
交換するものも状態が良ければそのまま使います。毎回金具を交換するのももったいないですしね。新築時には竪樋の場所が大丈夫でも現状では変えたほうがいい例もあります。
地震などによって目視ではわからないレベルで住宅が傾いている場合があります。
勾配が余程おかしい場合は集水器の場所を逆にするなど臨機応変な対応が求められます。
当社ではレーザー機を使っていますので住宅の傾きや勾配を診断するのはあっという間です。
本来なら勾配がきちんととれていれば、手間なのでやる必要がないのですが当社のこだわりとして、高圧洗浄機を使い疑似的な雨を降らせ、しっかり雨水を処理しているか目視で確認します。
雨樋、金具の取り外し
・軒樋の金具を外し解体していきます。長い場合は切って短くし、外しやすいようにします。
この時、集水器から伸びている竪樋はあらかじめ外しておくと楽です。
・次は竪樋を固定している金具【つかみ】を竪樋から外します
・残った金具を外していきます。
破風や外壁材を傷つけないように布や木材を当てて外していきます。
下地処理
・金具を外した穴を埋めていきます。
穴が開いたままだと景観を損ねたり、雨水侵入の原因にもなるので変性シリコンを使って埋めていきます。このとき普通のコーキング材を使って埋めてしまうと塗装するとき塗料が付着しないので、塗装に適した変性シリコンを使用しています。
もちろん、目立たないように慣らして仕上げます。
取り付け
・金具を取り付けます。
同じ箇所に打ち込んでしまうと雨樋を支える強度が弱くなるので別な場所に打ち込みましょう。
金具形状が違うものが数種類あります。打ち込みの深さや角度を計算しながら打たないといけない金具もあります。
これらの金具は大体45センチ~60センチ幅で打ち込んでいきます。このとき、水糸を張ってきちんと水が流れるように勾配を調整していきます。
・長さをしっかり計算し、雨樋を切っていきます。
これは外した雨樋とほぼ同じサイズで切ればいいので、合わせて切ればすごく楽です。
集水器の部分の穴を開けなければいけないので軒樋を加工していきます。
軒樋のパーツを接着剤で止めていき完成です。金具に取り付けていきます。
大体仕上がりが見えてきましたね!
竪樋も組み立てていき金具を止めたら完成です!
雨樋交換の費用
雨樋交換 | 5万~15万程度 | 雨樋全面交換 | 20万~40万程度 | 雨樋清掃 | 2万~4万程度 ※「和」メンバーの方は無料実施中! |
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工事費用を節約する方法
住宅の改修をするにはやはり費用がそれなりにかかってきます。
例えば足場を組むだけでも20万円~40万円程かかります。
工事をするたびに足場を組んでいたら相当の金額になってしまいますよね。
塗装時期やその他の交換時期が近ければ1度の足場でまとめて工事してしまったほうが毎度足場代をかけずに済むのです。
住宅の適切な修繕時期を見極めるのはかなり節約効果を生むと思います。
まとめ
雨樋は普段見落としがちではありますが、お家にとってはとても重要な縁の下の力持ちです。
「少しだけだから平気」といって後回しにしてしまい、取り返しのつかなくなる前に早目に適切な処置を施しましょう。そうすれば経済的にも住宅にも良い結果となるはずです。
特に季節の変わり目などには定期的に点検をしてあげてください。
また、当社でも「ドローンでの点検」を最近採用しました。
これにより、価格もあまり高くなく操作も簡単で、地上から屋根や雨樋の状況を確認することができるので、とても便利です。
高いからいいというわけでもなく、安いから悪いというわけでもなく、何の工事をどのようにするのか。
キチンとした適正価格、適正な工事内容であるかが大事なのです